2018年 新茶レポート② ~5月上旬 煎茶編~


~収穫~

2018年度は5月8日から収穫を開始しました。

今年度は例年より芽の成長が早く、4月下旬にはほとんどのお茶農家さんが収穫を始めていました。

当園の場合は早く収穫する必要はないので、一番茶収穫前の作業である『整枝』を秋ではなく春の遅い時期に行っています。

(整枝が秋か春かで3~5日芽の出が遅れます)

また、煎茶はミル芽(若い芽)ではなく、ある程度成長した方が苦味が少なくスッキリとして飲みやすいと思うので少し大きめで収穫しているのも理由の一つです。

 

収穫は『バリカン』と呼ばれる2人型摘採機で行います。2時間で1反位収穫できるので、作業自体はアッという間です。

和束は山間部でほとんどの茶畑が傾斜地にあるので、いまでも2人型摘採機が主流。平野部の大規模産地では、1人型の乗用型摘採機が主に使用されていています。

 

バリカンは機械の後ろに袋をつけて使用します。新芽を刈り取ると同時に後ろ向きに風が送られるので、刈り取った芽が袋に入っていく仕組みです。

 

またカマボコ状の列が並んだ茶園になっていますが、これはこの機械の型で仕立てをするための形です。前回のレポートでは手摘みをし易い様に自然仕立て園にしており、一昔前の手鋏の時代は、キノコがポコポコ生えている様な茶園もありました。茶園は仕立てによって形状が変わります。

 

収穫自体は一日5畝~1反ペースで行い、8日前後の日数で行います。地形や品種によって芽の成長速度が異なるため、早く芽が出てきたところから順に収穫していきます。

バリカンと呼ばれる2人型摘採機

収穫の様子

(2人で摘採機を持ち、後ろの一人は袋持ちのサポート)


~製茶~

製茶は畑から車で10分程の製茶工場で行います。当園では製茶工場は、別のお茶農家の方の工場を間借りさせて頂いております。(将来的には自園の工場を建てる予定)

 

和束では昔からの煎茶の個人工場が今でも結構残っています。自宅と隣接したところに建っているので、町中を車で走っていると家の横に煙突が突き出た製茶工場を目にすることができます。近年は、抹茶の生産が増えてきており、その原料を加工する碾茶工場が多くなってきています。(煎茶と抹茶は加工工程が異なるため、工場は別)

 

煎茶は、『蒸し⇒粗揉⇒揉捻⇒中揉⇒精揉⇒乾燥』という工程に分かれており、それぞれの工程で別々の機械を通していきます。特に最初の『蒸し』工程は最重要で、ここの蒸し時間でお茶の性質が大きく変わります。

(関西は30秒~1分位の浅蒸し茶、関東はもう少し長めの深蒸し茶が主流)

 

全体の工程は3時間~4時間で終了します。当園が使用している工場は全自動型ではないので、所々自身でお茶を箕(み)ですくって移動したりしています。各々の工程で茶葉を取り出すタイミングは、手触りや香りを元に自身で判断しながら一つ一つ行います。機械がお茶を『揉む』動作をしてくれるのですが、茶葉の状態は都度、人間が判断しなければなりません。その為、機械化されていても、人間の感覚に頼る部分も多いです。

 

また、機械一回に入れられる茶葉の量は60kg程度なので、一日の収穫分を数回に分けて機械に投入していきます。一つの工程でトラブルがあると、全体の流れがストップしてしまうので、常に機械の状態もチェックしています。

加工前のお茶の葉

煎茶の蒸し工程


精揉機(煎茶の針の様な形状はこの工程で作られる)

茶工場全体(昭和40年代築で木造作り)


~仕上がり~

今年度のお茶は、冬が非常に寒かったせいか良いのができたと思います。

最近の水色(お茶の水の色)は、青や緑がかったお茶が主流ですが、当園では摘採前に遮光を行う『かぶせ』は行っていないので、昔ながらの露地物の山吹色です。

 

また、2年ほど前から取り組み始めた敷草*によって、独特の良い香りが出始めたお茶もありました。敷草は分解がゆっくりなので、効果が出るまでは長い期間が必要なようです。来年はより多くの箇所で効果が出る事を期待しています。

 

*敷草・・・夏や秋の期間に、地表の防草・保温・干ばつ対策にススキや笹を敷く。近年では、管理手法の変化から、行っている所は殆どないが、『ホトロ香』と呼ばれる独特の香気を放つと言われている。山城地域ではホトラ、ホータロなどと呼んだりする。

宇治在来種の荒茶

宇治在来種の水色